一眼レフカメラに代表される高性能カメラは、どちらかといえば“わざわざ持ち出すもの”と目されてきました。高価で大型なカメラは、家族や友人と祝う記念日や旅先など、何かのイベントなどで明確な目的のために存在するともいえます。そうした撮影にはまた違う楽しみや思い入れがあるものですが、一生のうちで「これは」と思えるような素晴らしい写真は、必ずしも“特別な日”にだけ撮れるものではないはずです。
いつもの通勤路で目にした朝日や落日の思いもよらない美しさ。あるいは街角で遭遇した人間ドラマの妙味や、無名の花を道端に発見したときの新鮮な感覚…。写真を愛する人なら誰しも、心動かされる「その瞬間」が待ち構える類のものではなく、日々の一隅にこそ息づいていることを知っているのではないでしょうか。